生体環境応答性材料を基盤としたRNA創薬

秋田 英万 教授

 mRNAを導入することで蛋白質を生体内でつくらせるmRNA医薬は新しい遺伝子治療用モダリティです。mRNAワクチンの承認をうけて、今後、益々RNA創薬研究は加速すると考えられます。独自の脂質様材料ssPalm(SS-cleavable and pH-activated lipid-like material)を開発し、日油株式会社よりGMP基準での製造・供給がすすんでいます。特に細胞質内での分解性を高める分子改良を施した第三世代ssPalmにおいては、既存薬オンパトロ®に採用されている技術と比較しても高い安全性とmRNA導入効率を誇ることを見いだしています。今後、本デリバリーシステムとしての性能を高めるとともに、免疫応答の制御や臓器標的化を実現する技術を開発しながら、日本発、東北発の次世代RNAを用いた遺伝子治療、あるいは、RNAワクチン製剤を創出したいと考えています。

文献
1) Adv Funct Mater. 30: 1910575 (2020)
2) Adv Drug Deliv Rev.145-155: 210-226 (2020)

連絡先:秋田英万 hidetaka.akita.a4@tohoku.ac.jp
http://www.pharm.tohoku.ac.jp/~soutatsu/drug_design/