上皮細胞を標的とした抗アレルギー薬の開発

平澤 典保 教授

 新たな作用機序を持つアトピー性皮膚炎の治療薬・増悪化予防薬の開発を目指しています。特に皮膚バリア機能を担うとともに、アレルギー応答の制御にも関わる上皮細胞(ケラチノサイト)が産生するサイトカイン(thymic stromal lymphopoietin, TSLP)の産生阻害薬及び作用抑制薬の探索とその分子作用機序について解析しています。TSLPを恒常的に高産生するマウスケラチノサイト細胞株を発見し、本細胞を活用することにより、効率的にTSLP産生阻害薬のスクリーニングすることを可能にしました1)。また化合物ライブラリーから見い出したTSLP産生阻害薬の標的分子を探索し、Brd4などBETファミリータンパク質と結合し、その活性を阻害することも明らかにしました2)。現在、マウスアレルギー性皮膚炎モデルを用いて、BET阻害薬の抗アレルギー効果を検証するとともに、さらに異なる作用機序を持つTSLP産生阻害薬の開発研究を進めています。また、TSLP受容体を標的とする創薬研究も実施しています。

1) J. Immunol. Methods 402: 9-14 (2014)
2) Biochem. Pharmacol. 194:114819 (2021)

連絡先:平澤典保 noriyasu.hirasawa.c7@tohoku.ac.jp
http://www.pharm.tohoku.ac.jp/~seikatsu/mysite1/index.html