神経による腸管免疫制御機構の解明

倉田 祥一朗 教授

 「病は気から」と言われるように、神経系と免疫系の密接な繋がりは、以前より推察されてきました。現に100年ほど前、昆虫を用いて神経系が免疫系に影響を与えていることが示されています(Metalnikov, S. 1924)。しかしその後、神経系による免疫制御に関する研究は、複雑な神経系と免疫系を有する哺乳動物はおろか、それらが比較的単純な昆虫においてですら,ほとんど進展がなく、未解明のまま残されています。そこで、近年発展したショウジョウバエの神経操作技術を免疫研究に導入し、経口感染した病原細菌に対する抵抗性発現と、腸内常在細菌の制御に関わる神経を同定しました1)。この神経による腸管免疫制御機構を明らかにすることで、脳神経系を考慮した免疫制御・疾病対策や、神経・免疫連関を標的とした新規医薬品の開発などを可能にする新しい保健医療分野の構築を目指しています。

文献
1) J. Exp. Biol. 219: 2331-2339 (2016)

連絡先:倉田祥一朗 shoichiro.kurata.d5@tohoku.ac.jp
http://www.pharm.tohoku.ac.jp/~seimei/seimei_original.html

推進プロジェクト:
東北大学 新領域創成のための挑戦研究デュオ:神経による腸内フローラ制御を介した健康維持
https://w3.tohoku.ac.jp/frid/project/page-46/