ラベルフリーで細胞内の薬剤の動態・細胞状態変化を明らかにする

中林 孝和 教授

 様々な顕微システムを用いて単一細胞内の薬剤・導入分子の動態、細胞内環境を検出する研究を行っています。特に、蛍光タンパク質などで染色することなく、ラベルフリーで細胞内分子・細胞内環境を観測することを目的として、ラマン散乱、ブリルアン散乱、自家蛍光寿命顕微鏡など独自の顕微鏡を設置し、単一細胞内温度のラベルフリー検出1)やシス型およびトランス型の不飽和脂肪酸の細胞内導入ダイナミクスの観測2)などに成功しています。Deep learningを取り入れ、細胞のラマンスペクトルを測定するのみで細胞内状態(細胞内温度やがん化・疾病の発症等)を検出するシステム開発も行っています。また、近年注目を集めているタンパク質の液-液相分離(LLPS)について、ラマン顕微鏡を用いて、LLPSによって生じた液滴内のタンパク質の濃度定量、構造変化などをラベルフリーでその場解析できることも提案しました3)。蛍光、ラマン、ブリルアン、蛍光寿命などの顕微鏡、Deep learningを使った解析、LLPSによる液滴生成、液滴の解析などについて共同研究を行うことができます。

1) Angew. Chem. Int. Ed. 59: 7755-7760 (2020).
2) Phys. Chem. Chem. Phys. 22: 21646-21650 (2020).
3) Chem. Sci. 12: 7411-7418 (2021)

連絡先:中林孝和 takakazu.nakabayashi.e7@tohoku.ac.jp
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