細胞死や免疫の異常で生じるストレス関連疾患の創薬治療

松沢 厚 教授

 生体は常に活性酸素や感染、薬物・毒物や環境変化などのストレスに曝されており、これらのストレスへの適応が破綻すると、過度な細胞死や炎症・免疫応答の異常が生じ、がんや神経変性疾患、筋ジストロフィー、自己免疫性疾患やサントカインストームといったストレス関連疾患の発症や薬物による重篤な副作用発現に繋がります。当該グループでは、多様なストレスに適応する生体内の仕組みを明らかにし、細胞死や炎症・免疫応答の異常をコントロールできる創薬標的を見出し1, 2)、これらストレス関連疾患の治療薬開発を目指しています。特に、がんや神経変性疾患との関連性から注目されている、パータナトスやフェロトーシスといった新たな形態の細胞死を制御する薬剤や、炎症誘導で中心的役割を持つ複合体であるインフラマソームを標的とした特異的薬剤をスクリーニングによって同定しました3, 4)。現在、がん移植やリウマチ、腎障害などの様々なストレス関連疾患の動物モデルでの解析を基に、臨床応用を視野に検討を進めています。また、独自のスクリーニング系を用いて、新たな形態の細胞死や炎症を制御する新規生理活性物質を探索しています。
 医薬品開発研究センターをご利用の方には、これら動物モデルでの解析や、パータナトスやフェロトーシスを含む多様な細胞死や、ストレス応答シグナル、インフラマソーム活性化の検出系とそれらを用いたスクリーニング系なども提供できます。

1) Cell Reports 21: 2447-2457 (2017)
2) Scientific Reports: 11: 10350 (2021)
3) Cell Death & Disease 9: 1193 (2018)
4) Cell Death & Disease 12: 49 (2021)

連絡先:松沢厚 atsushi.matsuzawa.c6@tohoku.ac.jp
http://www.pharm.tohoku.ac.jp/~eisei/eisei.HP/index.html