妊娠高血圧腎症および慢性腎臓病の薬の開発

髙橋 信行 教授

 妊娠高血圧腎症の有効な薬物療法を明らかにしました1)。また、妊娠高血圧腎症の新たな作用機序をもつ治療法の開発を目指して、新規妊娠高血圧腎症マウスモデルを開発しました2)。このモデルを用いて、妊娠高血圧腎症の改善・悪化に関連する因子のいくつかを明らかにし、その機序の解明を行っています。妊娠高血圧腎症マウスの仔が成長した時、何らかの異常を示すか解明し、その薬物療法の開発を行っています。

 慢性腎臓病(CKD)およびCKDの合併症である筋萎縮(サルコペニア)や認知機能障害の予防・治療・進展抑制薬の開発を目指しています。腎機能が低下した状態では、通常体外へ排泄される老廃物が体内に蓄積しますが、その中でも体内で毒性を示す尿毒素は血中のみならず全身臓器に蓄積することがわかっています。尿毒素が筋細胞や神経細胞に悪影響を及ぼしますが、我々は尿毒素が細胞内で誘導する代謝失調が疾患の発症に関与していることを明らかにしました3), 4)。現在、細胞内代謝失調を標的とした創薬の研究をすすめています。

1) Proc Natl Acad Sci USA 2016 113: 13450-13455
2) PLoS One 2016 11:e0155426
3) Sci Rep, 2016 6: 36618
4) Heliyon, 2021 7: e06221

連絡先:髙橋信行 nobuyuki.takahashi.a8@tohoku.ac.jp
http://www.pharm.tohoku.ac.jp/~rinshou/rinyaku.html