1.脂肪酸結合タンパク質を標的としたレビー小体病の治療薬開発
これまでに私たちは脂肪酸結合タンパク質(FABP)をターゲットとした数々のリード化合物の創出に成功し、レビー小体病の原因タンパク質でαシヌクレインの細胞内凝集を予防することに成功しました。FABPには多くの種類があり、神経細胞のほかグリア細胞、オリゴデンドロサイト等、様々な細胞に発現しています。これらの細胞特異的なリガンドを創製し、根本予防・治療薬の開発をしています。
2.プロテアソームを標的としたアルツハイマー病の治療薬開発
最近わたしたちはプロテアソームを活性化し、アルツハイマー病の原因タンパク質であるアミロイドβの分解を促進し、細胞内蓄積を予防することに成功しました。この研究成果はパーキンソン病やレビー小体型認知症にも応用が期待されます。
東北大学プレスリリース - http://www.pharm.tohoku.ac.jp/file/information/20210629.pdf
3.レビー小体型認知症・パーキンソン病の超早期診断技術の開発
最近わたしたちはレビー小体病の独自バイオマーカーの開発に成功しました(特許出願2021-012620)。この技術により、レビー小体型認知症、パーキンソン病をはじめ、アルツハイマー病を精度よく鑑別することが可能であり、発症前における認知・運動疾患の診断応用が期待されます。
プレスリリース:脳疾患の新規予測・鑑別技術 ~ 認知症の超早期診断に期待
→https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2023/09/press20230925-03-ad.html
→http://www.pharm.tohoku.ac.jp/file/information/20230925.pdf
4.レビー小体病の発症メカニズムとαシヌクレインの伝播機構の解明
レビー小体病の原因タンパク質であるαシヌクレインは体を伝播し脳内に蓄積することが病気の原因と考えられています。私たちはこのαシヌクレインが脂肪酸結合タンパク質FABP3と様々な細胞膜表面の受容体と相互作用し、細胞内に取り込まれる新たなメカニズムを明らかにしました。またこの現象はドーパミンの生合成に重要なチロシン水酸化酵素の消失につながることを明らかにしました。αシヌクレインの伝播そのものを根本的に抑制し、レビー小体病を予防可能な治療薬の開発も行っています(特許出願2020-127958)。
5.遺伝性神経疾患・小児疾患の原因遺伝子解析と発症機構の解明
私たちは遺伝性変性疾患、とくに小児性遺伝性疾患であるドーパ応答性ジストニア(瀬川病)を中心に、小児神経学の理解を深めるための遺伝子解析を行っています。