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Research研究の概要

遺伝子制御薬学分野の研究について

正確な遺伝子発現は生命現象の根幹であり、異常タンパク質の産生はタンパク質恒常性の破綻をもたらす根本原因と考えられる。異常タンパク質は、翻訳後に様々な要因で立体構造等の変化により生じるが、異常なmRNAや不正確な翻訳反応、さらに異常なリボソームでも産生されることが明らかになってきた。我々は翻訳伸長異常を認識し、合成途中の新生ポリペプチド鎖を分解するRQC(Ribosome-associated quality control)を発見し、リボソームの特異的なユビキチン化による運命決定機構を解明してきた。さらに、機能を欠損したリボソームを分解する品質管理機構であるNRD(Non-functional rRNA Decay)を解析し、小サブユニットの構成18S rRNAに翻訳伸長中の正確なコドン認識に必須な部位に変異が生じた場合の分解機構である18S NRD(18S Non-functional rRNA Decay)における、E3ユビキチンライゲースによるリボソームタンパク質の特定部位でのユビキチンの機能も解明している。これらの翻訳品質管理は、異常タンパク質の産生を抑制し、タンパク質恒常性を維持する分子機構の解明は、様々な異常タンパク質蓄積により引き起こされる疾患(アルツハイマー病やパーキンソン病等の神経変性疾患)や老化に関する創薬の分子基盤になることが期待される。

 

 

    Publications発表論文

    -タンパク質の配送異常を排除するしくみ 〜翻訳に共役した品質管理機構の新たな機能を解明〜 -
    Matsuo and Inadaの論文がCell Reportsに発表されました(プレスリリース)。

    -異常タンパク質につく目印が神経変性を起こす仕組みを解明 〜CAT テイルによる異常タンパク質の標識とその機能不全による細胞死〜 -
    Udagawa et alの論文がCell reportsに発表されました (プレスリリース)。

    -非翻訳領域における翻訳開始機構を解析 〜非翻訳領域における新規のコーディング領域を発見 〜 -
    Nobuta et alの論文がNARに発表されました (プレスリリース)。

    -mRNAの安定性を決定する新たな分子機構の発見 〜遺伝子発現の根幹を監視する新たな仕組み 〜 -
    Buschauer# , Matsuo# et alの論文がScienceに発表されました (プレスリリース)。

    -異常な翻訳停滞の強制終了を試験管内で再現 〜リボソームのユビキチン化による新生ペプチド鎖の運命決定機構〜 -
    Matsuo# , Tesina# et alの論文がNSMBに発表され (プレスリリース)、日本経済新聞で取り上げられました。

    -液-液相分離が担う核内タンパク質分解機構の発見-
    Yasuda# , Tsuchiya# , Kaiho# et alの論文がNatureに発表されました (プレスリリース)。

    -合成途上の異常ポリペプチド鎖をリボソームから解離させ、細胞をタンパク質の凝集から守る仕組みを解明-
    Su# , Izawa# et alの論文がNatureに発表されました。

    -翻訳伸長阻害を認識する品質管理機構RQCとNGDに必須なE3 ユビキチンライゲース Hel2が、2つの連続停滞リボソーム(Disome)を認識することを発見-
    Ikeuchi et alの論文がEMBO Jに発表されCoverに選ばれました。