ガレクチン


細胞接着分子ヒトガレクチン1の糖結合pH依存性


細胞表面に発現し、細胞接着や膜タンパク質ネットワーク形成に貢献するタンパク質の一つにヒトガレクチン1(hGal-1、図1)があります。 hGal-1はβガラクトシド構造に選択的に結合する、水溶性糖結合タンパク質(レクチン)の1種であり、正常細胞やがん細胞において様々な役割を果たすことが知られています。
生体内部でのpH条件は一定に保たれているのですが、局所的に酸性に傾く場合があります(例えば腫瘍細胞の表面はpH <6まで低下し得る)。 他方、hGal-1の糖結合活性は酸性条件下で低下します。 これらのことから、細胞表面糖鎖に結合したhGal-1は、条件に応じて糖結合能力が変化すると期待されます。
ヒトガレクチン1の糖結合能力pH依存性の分子機構に関する情報は、細胞表面でのhGal-1の挙動を理解するために、あるいはpH依存性を制御するための薬剤を開発するために、重要な基礎的知見であると言えます。 本研究ではこの分子機構を解明することを目指しています。

図1.ヒトガレクチン1の2量体構造 [PDB: 1GZW]


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生物構造化学分野 2011