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ABOUT SEIKA

 
 

分子細胞生化学分野は、平成19年4月からスタートした研究室です。
当分野教授の青木は平成19年3月まで東京大学薬学部衛生化学教室に在籍し、生理活性脂質の分野で研究を行ってきました。
 
当分野の研究内容はリゾリン脂質をはじめとして機能性脂質の生理機能を細胞レベル、個体レベルで明らかにすることです。これらの研究を通じて、最終的には病態発症メカニズムを分子レベルで解析し、創薬のターゲットを提示することを目指します。
 
方法論としては、生化学や分子細胞生化学的な手法から、ノックアウトマウスやノックアウトゼブラフィッシュなどの遺伝子改変動物、ゼブラフィッシュなどのモデル動物を利用した解剖学、薬理学、細胞生物学的手法を用います。
 
当分野は仙台の地から情報を世界へと発信し、最終的には世界規模で活躍できる研究者を育成することを究極の目標としています。
 
当分野に興味を持たれた方はこのホームページをご覧ください。直接ラボに来ていただいても大歓迎です。

当分野では、研究者育成に特に力を注いでいます。
 
研究に興味を持ち、将来研究者(アカデミック、製薬企業の研究者等)を志望する方が研究者としての資質を身につけるための研究教育を行っています。
 
薬学6年制は2006年からスタートし、従来の4年制の学生だけでなく薬学6年制の学生が研究室に配属されることになりました。当分野では4年制、6年制問わず、将来研究で生きていこうと考えている方を募集しています。
 
実験が好きで生命現象への好奇心がある人
何か新しいことに興味があり、また発見したいと思っている人
体力がありスポーツが好きな人
周りと強調できる人
生き物が好きな人
 
以上のいくつかが当てはまる人を募集しています。
 
興味を持たれる方はご連絡ください。

青木先生に聞いてみました( ̄▽ ̄)
 

どんな人が分子細胞生化学分野に向いていますか?

基本的には生物が好きな人が向いていると思います。生命の神秘・不思議に興味があり、そのメカニズムの解明等を面白いと思える人、さらにそのような研究を創薬研究に応用することに価値観を見出せる人が向いていると思います。
 

就職はできますか?

これは必ずしも保証できません。ただ、卒業後行き先は決まらなかった人はいません。私たちの研究室では将来研究職を希望している方が多く、そのために研究に必要な考え方、スキルの教育に特に力を入れています。はじめは研究を行う能力に個人差はあって当然です。当分野で修行してください。
 

土日休日は研究をするのでしょうか?

基本的に月〜土に研究を行います。が、当分野ではマウスなどのモデル生物を扱っているので、日曜、休日に研究室に来る必要があることもあります。
 

研究室に入る前に必要な知識はありますか?

生化学、遺伝学、薬理学等の基礎知識はつけておくのが望ましいでしょう。また、最低限の英語は必須です。ですが、これらの知識について多少自信がなくても、研究室に配属後、勉強会、セミナー・コロキウム等でみっちり鍛えられます。
 

 研究テーマはどのようにして決まりますか?

基本的には学生とスタッフとの話し合いにより研究テーマは決まります。学生が提案することもありますし、スタッフが提案することもあります。研究が難航する場合には勇気ある撤退によりテーマが変わることもあります。
 

生活費にゆとりがなく、大学院進学を迷っているのですが...

衣食住が満たされなくては大学院生活や研究生活を満足に送ることはできません。東北大学では授業料免除、日本学生支援機構による奨学金、TAなどの制度が充実しています。当分野ではこれらの支援に関して強力に後押しします。
 

将来薬剤師を志望しているのですが...

私たちの研究室では薬剤師育成のための教育プログラムは行っておりません。


ラボの様子

分子細胞生化学分野の各部屋を覗いてみましょう。

 
 
 

学生は1研か2研に配属されます。一人一人にデスクと本棚が割り当てられ、ここで研究のプランを練ったり、文献を調べたり、実験結果の解析を行ったりします。また、熱いディスカッションがあちらこちらで聞かれます。 デスクは自由にカスタマイズできるので、各々の性格が表れます笑

 
マウス、ラット等を用いた薬理実験を行っています。また、ウイルスや各種遺伝子改変実験等を安全キャビネット内で行っています。

旧機器室

ここには分子細胞生化学分野の膨大なサンプルがフリーザーで保管されています。宝の山です。
 

新機器室(通称シェディング部屋)

 

この部屋では当分野の井上准教授、青木教授らにより開発されたTGFα切断アッセイ(シェディングアッセイ)に特化した機械類などが置かれています。みんなからは"シェディング部屋"と呼ばれています。その他にも魚卵にインジェクションするためのインジェクターをはじめとして最新鋭の機器類が揃っています。

暗室

 
レーザーマイクロダイセクションや蛍光顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡など、生化のエース級の機器が揃っています。共焦点顕微鏡が最新型のものに置き換わり、性能がさらに上がりました。
 

試薬室

この部屋では実験に使う試薬を電子天秤で量ります。試薬棚には共通で用いる試薬がズラリと並んでいます。他にもたった1uLのサンプルで核酸・タンパク質を定量できるNanodropや、切片を作製するのに使用するミクロトーム等があります。
 

RNA実験室

 
この部屋にはRT-PCR装置をはじめとして、フローサイトメーター2台、FACS1台とこれまた生化のエース級の機器が置かれています。凍結切片を作製するためのクリオスタットもあります。狭めではありますがいつも誰かしらがいます。

細胞培養室

培養細胞などを使った無菌操作はここで行います。クリーンベンチ内は菌が存在しないはずなのですが...よくやってしまいます笑(何を?) 全自動セルカウンターが導入され、実験効率が向上しましたが、いつも混んでいます。また、インキュベータータイプの最新の生細胞イメージング機器IncuCyteも導入され、フル稼働で働いています。
 

新実験室

機器類が増えたことにより、2015年度から実験室が一つ増えました。これからどんどん最新の機械がこの部屋に導入されていきます。現在はサイトカイン一斉定量システムMAGPIXなどが置かれています。フカフカの椅子もあり小休止にはもってこいの部屋です(?)

 
 

HTS(High Throughput Screening)はアカデミア創薬研究においては欠かせない機器です。分子細胞生化学分野では様々な機関と連携して積極的にアカデミア創薬に取り組んでいます。

MS室1

 

MS室1にはThermo Fisher Scientific社のTSQ Quantum Ultraトリプル四重極LC-MS/MSが2台あります。2台とも生化のためにフル稼働で働いてくれている紛れもない生化のエースです。
 

MS室2

MS室2にはMS室1のUltraよりもさらに高性能なTSQ Quantivaトリプル四重極LC-MS/MSがあります。生化の守護神といったところでしょうか。また、さらに超大型新人としてイメージングMSが導入されました。この部屋からリゾリン脂質の研究を飛躍的に進展させるデータが出ることでしょう。

マウス飼育室(新動物舎)

 

遺伝子改変動物は遺伝子の機能を調べる上で現在最も有効なツールのひとつです。生化ではさまざまな遺伝子の遺伝子改変動物を用いて遺伝子機能に関する研究を行っています。東北大学薬学部では平成25年度から完全SPF(Specific Pathogen Free)動物飼育施設(新動物舎)として新たな動物施設が立ち上がりました。それを伴い当分野ではSPF環境でマウスを飼育しています。SPF環境ではこのような格好でマウスの世話をしています。
 

ゼブラフィッシュ飼育室

 
 
生化では近年、モデル生物としてゼブラフィッシュ系を導入しました。この部屋は暖かく、水がチョロチョロと流れていて癒されます。
 
 

ゼミ室では勉強会などが行われますが、普段は憩いの場。学生の本丸です笑

薬学部B棟3階に入ると最初に教授室があります。いわば、生化の受付ですね笑 教授室では青木先生がいつもコンピューターに向かってお仕事をしています。


機器類

分子細胞生化学分野が誇る最新鋭の機器類を紹介します。

 脂質の分析をする際に質量分析機(MS)は非常に有効な手段ですが、サンプル処理段階でサンプルをすりつぶす関係上、MSから得られる質量データには"組織中のどこで"という位置情報は含まれませんでした。しかし、イメージングMSを使えば超高感度の質量データと切片上の位置データを同時に得ることができます。今年度、MALDI(マトリクス支援レーザー脱離イオン化)部位のレーザーユニットをアップデート(AMR社AP-SMALDI AF5)し、5 µm間隔でのイメージングが可能となりました。AP-SMALDI AF5は現在日本にこの1台しかない最先端機器です。

 
 
当研究室で着目している脂質メディエーターは生体の局所で微量に産生されるものなので、高感度に捉える検出系が必要です。質量分析法(Mass Spectrometry)はこの点で非常に強力な研究ツールであり、Quantivaは当分野が着目している生理活性脂質であるLPA、LysoPS、S1Pなど(詳しくは RESEARCH)を超高感度(数百pM)で検出することができます。稼働中のThermo社TSQ UltraとTSQ Quantivaに加え、今年度さらに感度の高い最新機Thermo社TSQ AltisとWaters社Xevo TQ-XSを新たに導入しました。

共焦点レーザー顕微鏡LSM800

高解像度のイメージを三次元構築可能な顕微鏡です。焦点距離の異なる写真を重ね合わせて3D画像を構築できる超優れモノです。最近最新型へアップグレードしてさらに高性能になりました。
 

蛍光顕微鏡

生物学・生化学系の研究を行う際に空間分解能の高いデータが得られる蛍光タンパク質・蛍光ラベルは重要な研究ツールです。生化では手軽に使える低倍率のものから高性能で高倍率なものまで、3台の蛍光顕微鏡を揃えています。細胞のタイムラプスイメージングが可能なものもあります。
 

Laser Microdissection(LMD)

組織切片中の細胞塊をレーザーで切り出す機械です。顕微鏡で拡大した画面上で切り出す部位をタッチペンを使って指定します。手作業では不可能な1細胞の切り分けも可能です。
 

発光顕微鏡 OLYMPUS LV200

生物発光は近年、蛍光よりはるかに高感度で検出を行えることからレポーターとして注目されています。昨年度生化では発光シグナルの位置情報を捉える最高感度レベルの発光顕微鏡OLYMPUS社LV200を新たに導入しました。

各種顕微鏡

 
 

顕微鏡による観察は生物学の基本です。組織切片を光学的に観察する高性能正立顕微鏡や細胞等を観察する倒立顕微鏡など、様々な用途に対応できるように多種多様な顕微鏡を揃えています。

 

切片を作製するための機械です。右のクリオスタットは凍結切片を作製する機械で、5 umや10 umといった極薄の切片を切り出すことが出来ます。

 
 

フローサイトメーター(FCM)は混成細胞集団を細胞表面マーカー等を使って解析することができます。大量のサンプルを全自動で解析してくれる優れモノです。生化ではFCM2台、細胞ソート機能のついたFACS(Fluorescence-Activated Cell Sorting)1台を導入しています。FACSはCRISPR-Cas9システムを用いたKO細胞の作製にも使用しています。

FlexStation3

吸光度、蛍光、発光等を測定出来るなんでも屋さんです。設定温度でインキュベートできたり、自動で試薬の注入もできます。細胞内カルシウム濃度を測定したり、吸光を利用して酵素活性を測定したりその他様々な用途に使用しています。
 

EnSpire

吸光・蛍光・発光測定に加え、新技術Alpha(Amplified Luminescence Proximity Homogeneous Assay)に対応しています。Alphaはドナービーズ、アクセプタービーズ2種類のビーズ間のエネルギーの移動を利用した、超高感度の検出システムです。
 

SpectraMax

吸光・蛍光・発光等を高感度に測定出来ます。生化では主に生物発光を利用したGPCRシグナルの検出などに利用しています。
 

TGFα切断アッセイ吸光度自動測定システム

 
 

当分野の井上准教授・青木教授らによって開発されたTGFα切断アッセイは吸光度を測定することでGPCRシグナルを検出します。生化にはプレートを積んでおくだけで自動でプレートリーダーへ運んでくれるStackMax、吸光度を測定してくれるSpectraMax、コントロールPCを組み合わせた吸光度自動測定システムを2機導入しています。このほかにも、マルチチャンネルピペッターの進化版である384/94チャンネルピペッターシステムEDR384や、高速試薬分注が可能なマルチドロッパーなどの機器も実験を助けてくれます。

エッセンバイオサイエンス社製のIncuCyteはインキュベーター内で細胞を培養しながら明視野、蛍光のタイムラプス画像を全自動で取得・解析できる新タイプのイメージング解析システムです。セルカウント等も行うことができ、これまでのエンドポイントアッセイでは見えなかった生細胞の変化の過程を全て可視化して追跡することができます。

生化ではMAGPIXシステムを導入しており、わずか25 uLのサンプルから最大50種類の目的物質を同時に測定することできます。サイトカイン等を一斉定量する際などに用いています。

アガロース電気泳動では見分けることの出来ないDNA、RNAの数塩基の差を高精度、高感度で検出・定量することができます。ゲノム編集による変異導入の確認を正確に行うことが出来ます。試薬を充填するだけで96 well plate上のサンプルを全自動解析してくれるので、とても便利です。

現在、生物系の研究でごく一般的になったPCRは手軽である反面、反応時間が長いという側面があります。生化では快適に実験が行えるように、TaKaRaのThermal Cyclerを7台導入しています。