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University of East Anglia

2016年8月6日-10月26日  DC2 野呂 尭広

この度は、イギリス東部のNorwichという都市にあるUniversity of East Anglia (UEA)のA. Ganesan教授の研究室で約80日の短期研究留学をさせていただく機会をいただきました。UEAは広大な敷地を有しており、同一キャンパス内に全学部があります。体育館やグラウンド、寮などが完備され、美術館や人工池もあるため、学生のみならず地元の住民も散歩や観光に訪れている光景をよく目にしました。また、UEAは留学生がとても多く、国際色豊かな大学です。Ganesan研究室もイギリス人に限らず、私のような留学生を含む、多くの異なる国籍の学生で構成されていました。 この短期留学ではイギリスという日本と全く異なる環境に1人で飛び込み、日常生活および研究を通じて、大変貴重な経験を積ませていただきました。以下に、留学を通じて感じたことを日本と比較しながら述べさせていただきたいと思います。

• 実験室
実験室およびデスクルームはGanesan研究室だけでなく、もう1つの研究グループと共有して使用していました。実験室は広く、私にもドラフト1つが与えられました。器具や測定機器については徳山研究室のほうが良いものもありましたが、実験に不自由を感じることはありませんでした。 実験室の環境や細かな部分は日本と違えど、有機化学という点では同じなので特に大きな違和感なく実験を開始することができました。しかし、グループの研究目的によって行う反応の種類が異なるので、新しい体験も多くありました。特に、Ganesan研究室ではアミノ酸を原料とした反応を行うことが多く、徳山研究室では行われていないペプチドの固相合成も経験することができ、大変勉強になりました。

• コミュニケーション
日本の学生は英語が苦手であるという批判をよく耳にしますが、それがどの程度深刻な問題であるのか渡英前には実感していませんでした。しかし、いざ英語圏で生活をすると、やはり言葉の壁が立ちはだかり、円滑な意思疎通ができないこともしばしばありました。 英語が流暢に話せなくても英語圏でも生きていくことはできると思います。お金があればレジに品物を持っていくか、メニューを指差して注文すれば買い物や食事はできるからです。また、普段用いる化学用語は限られており、いざとなれば構造式を書くなど化学における“共通言語”を用いて意思疎通ができるので、化学の会話については比較的円滑な議論をすることができました。しかし、学生同士での雑談において、慣用表現やスラングなどの若者言葉を織り交ぜた会話になると会話についていけないこともありました。生活するには困りませんでしたが、もっと英語を使いこなせていればもっと楽しかったとも思うので英語習得の重要性を感じました。また、欧州の若者は第2言語として英語を積極的に学んでおり、同世代の日本人と比べて遥かに英語を使いこなしていたのは驚きでした。
 

• 研究発表
UEAのPharmacyでは、毎週博士課程の学生の研究発表(30分x2)もしくは外部からの招待講演(60分)が行われています。薬学科全体を対象とした講演会なので、有機化学のみならず生化学や活性評価の話題の講演もあり、薬学に関する知見を広げる上で良い勉強になりました。私もこの講演会において日本で行っている研究について英語で30分間発表しました。初めての英語での研究発表ということで緊張しましたが、周りから「よくできていた」と言っていただけました。 UEAの学生は、日本の学生に比べて積極的に質問し、活発に議論している印象がありました。日本では恥ずかしがってしまうからか、学生からの質問があまり出ないこともありますが、こういった一面は見習うべき態度であると感じました。

今回の渡英では研究のみならず、イギリス(欧州)の文化・慣習・生活様式などについても体感することができました。彼らのスタイルの中には、余暇を楽しむ余裕をもったり親密な関係を築きやすくするなど、日本も見習った方がよいと感じたこともありますが、真面目で事細かい日本のスタイルのほうがよいと感じた部分もあります。どちらが優れているかという問題ではなく、国外に目を向ける事で欧州と日本のそれぞれの良さを同時に実感できたという点で視野を広げることができる、貴重な経験をさせていただいたと思います。 留学した人の話を聞いても実際に体験しなければわからないこともたくさんあります。特に、学生のうちにこのような経験をさせていただけたことは本当に幸運なことだと思うので、留学のチャンスがある学生は積極的に活用するべきだと感じました。また、留学できるようなシステムや枠組みがより充実すれば日本の学生にとって良いことであると思います。 最後になりますが、UEAで私を迎え入れてくれたGanesan Groupのメンバーと、今回の貴重な短期研究留学の機会を与えてくださったGanesan教授、土井隆行教授、徳山英利教授に厚く御礼申し上げます。

►University of East Anglia正門前

►校舎
いくつもの校舎が連絡通路で一繋がりになっている構造は、建物としての価値も高いそうです。

►Ganesan教授との記念撮影

►各個人に割り当てられている実験台(ドラフト)

►固相合成用の器具と振動機

►デスクルーム
2つの研究グループで共有しています。

►Ganesanグループのメンバーを中心とした夕食会

►Norwichからバスで1時間程度のビーチに友達と行きました。

      

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Last Updated July 24, 2014