Graduate School of Pharmaceutical Sciences, Tohoku University
東北大学大学院薬学研究科 医薬資源化学分野

研究内容

 独創性の高い医薬品を創るためには,創造力を掻き立てる高い新規性をもつリード化合物の発見が強く求められる.動・植物や微生物といった天然資源は,我々が思いもよらない新奇性に富む生物活性物質を創薬の場に提供してきた.例えば,モルヒネはケシから単離され,アスピリンやメバロチンはそれぞれ柳皮や青カビに含まれる成分を原形として開発された。私たちは,「創造力あふれる新たなリード化合物の発見」を目指している。そのために,新しい生物試験法を自ら開発し,その試験法を用いて未利用天然資源である細胞性粘菌や昆虫寄生菌に含まれる重要成分を探っている。天然生物活性物質は,自然から与えられた貴重な財産である。
 私たちは,この財産を最大限に活かすために,生物活性物質についてできるだけ幅広い領域からアプローチすることを心がけている。すなわち,生物活性物質を単離しその化学構造を決定するにとどまらず,それらを医薬品化学や生物学の眼でみることにより,より効果の高い物質の創製や活性機構の解析にも取り組んでいる。
 最近、生物資源のゲノム解読が進むにつれて、そこには物資生産に関わる多くの未利用遺伝子が存在することがわかってきた。これら“眠る遺伝子”を上手に活用することができれば、様々な物質が生産される。私たちは、これら生物資源の未利用遺伝子を人為的に発現させることによって新しい物質を創り出し、そこから創薬に有用な物質を探索している。