ポストゲノム時代の天然物探索・創製研究

浅井 禎吾 教授

 生物が作り出す天然物は、歴史上、比類なき重要な医薬資源であり、数多くの医薬品開発に貢献してきました。近年、様々な生物のゲノム情報が解読され、膨大な天然物の設計図ともいうべき生合成遺伝子クラスターの存在が明らかにされ、ポストゲノム時代における天然物の探索・創製の新しい資源として期待されています。私たちのグループでは、ゲノムマイニングと異種発現を基盤とするバイオプロセス型分子創製技術を確立しており、遺伝子情報を材料とした天然物創製研究を実践しています。例えば、糸状菌の有用活性天然物であるジテルペノイドピロンの生合成経路の再構築と再設計により、天然物だけでなく自然界にプログラムされていないものを含む多様な新規分子の創製と有用活性天然物の発見に成功しています1)。本ユニットでは、膨大に存在する遺伝子資源を材料として、天然物の合理的な探索、有用希少天然物の創製、天然物の安定供給の実現、生体触媒による構造展開など、革新的な天然物創製研究を基盤とする医薬品開発研究を推進します。

文献
1) Nature Commun. 11, Article number: 1830 (2020)

連絡先:浅井禎吾 teigo.asai.c8@tohoku.ac.jp
http://www.pharm.tohoku.ac.jp/~shigen/asai_lab/