ヘテロ環・小員環化合物の迅速合成と構造展開手法の開発

吉戒 直彦 教授

 小分子医薬品の骨格として重要な地位を占める含窒素ヘテロ環や小員環の迅速な構築および構造展開・多様化を可能とする合成技術を開発しています。特に、遷移金属触媒を用いた不活性結合(C-H結合やC-C結合など)の活性化を鍵とする新反応の開発研究を多数展開しています。具体的な開発事例としては、入手容易なオキシム類から多様な置換様式をもつピリジン誘導体を一段階で合成する手法1)、ピリジン・ピリドンをはじめとする種々の含窒素ヘテロ環のC-H結合を位置選択的に修飾する手法2)、シクロプロパン誘導体のC-H結合を立体選択的に修飾する手法3)などが挙げられます。ヘテロ環や小員環以外にも、高度に官能基化された炭素骨格、例えば多置換オレフィン化合物の位置および立体選択的合成においても独自の技術を開発しています。

1) Angew. Chem. Int. Ed. 2017, 56, 8240-8244.
2) J. Am. Chem. Soc. 2020, 142, 12878-12889.
3) J. Am. Chem. Soc. 2021, 143, 18400-18405.

連絡先:吉戒直彦 naohiko.yoshikai.c5@tohoku.ac.jp
http://www.pharm.tohoku.ac.jp/~sekkei/