当研究室では、「自然免疫」と「発生・再生」に関する研究を、分子遺伝学・生化学・細胞生物学的手法などを用いて、ショウジョウバエを用いた個体のレベルや、ヒトやマウスなどの細胞を用いた細胞のレベル、そしてそこで機能する分子のレベルで行っています。 生物が普遍的に有している機構の分子基盤を明らかにすることで、「生命の持つ機能」に迫ります。
自然免疫における病原体認識と免疫応答活性化機構に関する研究

自然免疫は、全ての生物が有している感染防御機構です。
哺乳動物では、感染の最前線で働くと同時に、獲得免疫の活性化にも重要です。
当研究室では、世界に先駆けて、ショウジョウバエの病原体センサーであるペプチドグリカン認識蛋白質(PGRP)-LEを同定しました。
PGRP-LEは、体液中で働き自然免疫応答を活性化すると同時に、細胞内でも機能する病原体センサーです。
PGRP-LEは、抗菌ペプチドの産生を誘導すると同時に、オートファジーを誘導して細胞内寄生細菌の排除を行う事が明らかとなりました。
Takehana et al. PNAS. 99, 13705-13710. 2002.
Takehana et al. EMBO J. 23, 4690-4700, 2004.
Kaneko et al. Nature Immunol. 7, 715-723, 2006.
Yano et al. Nature Immunol. 9, 908-916, 2008.
Goto et al. JBC. 285, 15731-15738, 2010.
倉田祥一朗:ショウジョウバエモデルによる病原細菌認識と排除の分子機構.実験医学増刊「感染症のサイエンス」27, 212-217, 2009.
倉田祥一朗 特定領域研究「感染マトリックス」科学屋

自然免疫を標的とした創薬に関する研究

自然免疫は創薬の重要な標的の一つです。
当研究室では、自然免疫の種間での共通性を利用した探索系を確立し、医薬資源科学分野と共同で、自然免疫に作用する化合物の同定と創薬研究を行っています。
Yajima et al. Biochem. J. 371, 205-210, 2003.
Sekiya et al. Life Science. 80, 113-119, 2006.
Sekiya et al. Biochem. Pharm. 75, 2165-2174, 2008.
Kikuchi et al. Organic letters 11, 1693-1695, 2009.
倉田祥一朗:昆虫の自然免疫機構を解き明かす−そこで働く化合物が創薬のカギとなる.化学 64, 12-17, 2009.

器官形成プログラムの決定と維持、その改変に関する研究

当研究室では、ショウジョウバエの複眼になる細胞を操作して、複眼を翅、触角、肢へと改変することに成功しています。
この改変系を用いて、複眼を翅に改変する遺伝子を同定し、Winged eyeと名付けました。
Winged eyeは、遺伝情報の読み出し方を規定するエピジェネティックな制御に関わることが明らかとなっています。
また、器官改変頻度を著しく上昇させることのできる遺伝子も同定しています。
このような研究から、三次元的な器官構築を伴った再生医療を効率良く行うための、新たな手法の開発に手がかりが得られることを期待しています。
Kurata et al. PNAS. 97, 2117-2122, 2000.
Punzo et al. Genes Dev. 15, 1716-1723, 2001.
Onuma et al. PNAS. 99, 2020-2025, 2002.
Katsuyama et al. PNAS. 102, 15918-15923, 2005.
Prince et al. Development 135, 1669-1679, 2008.
倉田祥一朗:ハエから夢見る再生医療.ファルマシア 44, 1059-1062, 2008.
倉田祥一朗:東北大学Staff Activity No.014

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