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研究内容

化学物質によるTSLP産生とアレルギー増強機構の研究 (青葉山キャンパス)

近年、環境中の様々な化学物質は免疫 応答に影響を及ぼし、アレルギー性疾患の誘発、増悪化に関与していると考えられています。私たちはその一つの機序として、ある種の化学物質が皮膚上皮細胞からTSLPというサイトカインの産生を誘導することを見いだしました。TSLPは皮膚より侵入する異物に対して、アレルギーを惹き起すスイッチとなるサイトカインです。そこで私たちは、(1) 化学物質による皮膚上皮細胞からのTSLPの産生誘導の分子機構、(2) TSLPの作用発現機構、さらには (3) TSLP産生抑制薬についての研究を行っています。TSLPの産生を抑制する化合物は、これまでにない作用機構を持つ抗アレルギー薬になることが期待されます。すでにそのヒット化合物を発見し、創薬研究も進めています。

金属炎症・アレルギーの誘発機構の研究 (青葉山キャンパス)

金属を含む装飾品や体内へ留置される医療器具により金属アレルギーの発症が増加しています。金属アレルギーは多くの方に発症する病気ですが、未だに優れた治療薬は開発されておらず、現在、その予防、治療は原因となる金属との接触を避けることしかありません。私たちは、装飾品や医療器具からの金属イオンの溶出は生体応答が関与していることを突き止め、医薬品により制御できる可能性を見出しました。現在、金属(特にニッケル)の溶出機構の解明、ならびに金属イオンによるアレルギーの誘発機構とその治療薬の開発について研究を進めています。また、大学病院の皮膚科や工学研究科と、臨床サンプル中の金属濃度の測定と診断への応用、医療材料・吸着剤等の開発を目指して共同研究を進めています。


ファーマコゲノミクス(PGx)解析による個別化薬物療法の推進 (星陵キャンパス)

同じ種類、同じ用量、同じ用法でお薬を服用しても、患者さんごとにその効き目や副作用の出具合は異なります。その原因の一つとして、一人一人の遺伝子配列の違いが注目されています。つまり、患者さんがお薬を服用する前に、わずかな血液や唾液から、その患者さんの薬効や副作用を予測する遺伝子診断が可能となります。
私たちはこれまでに、アミノグリコシド系抗生物質の難聴発現を予防するミトコンドリアDNAの遺伝子診断や抗がん剤の副作用発現を予測するゲノムマーカーを臨床現場で活用し、テーラーメイド(個別化)薬物療法を推進してきました。

薬物代謝酵素の網羅的バリアント機能解析と薬物動態、薬効、副作用予測 (星陵キャンパス)

薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP)には、これまでに一塩基多型(SNP)を中心とした約400種以上の遺伝的バリアントアレルが同定されており、これらがヒトにおける薬剤反応の多様性を生み出していると考えられています。しかし今後、薬物代謝酵素遺伝子のSNPがいくら同定されても、それらに由来する酵素タンパク質の機能変化が正確に評価されなくては、個人の遺伝的背景を考慮したテーラーメイド薬物療法への応用は困難を極めます。私たちは、CYPバリアント酵素を網羅的に作製しライブラリーを構築して、様々な医薬品における代謝能の変化を解析し、遺伝的な違いによる薬物動態、薬効、副作用発現の個人差予測を行っています。

スーパージェネラリストファーマシスト養成の研究教育プログラム構築

次世代シークエンサーを用いたゲノム解析やLC-MS/MSを用いた薬物動態解析など最先端科学を基礎研究として経験・理解し、ファーマコゲノミクスとファーマコメタボロミクスに関する高度な知識・技術を有し、薬剤師として患者の病態、薬の情報をより深く理解して、患者のゲノム情報と病態情報、さらには薬の情報を統合して薬物療法の最適化ができる高度な能力を持つ薬剤師(スーパージェネラリスト・ファーマシスト)の育成を目指した大学院教育プログラムを構築します。

革新的医薬品実用化促進を目指したレギュラトリーサイエンス研究

最先端の技術を用いた医薬品については、当該技術に対応できる人材が不足しており、ドラッグラグ等の原因になっています。これらを解消するために、最先端の技術を研究している大学において、レギュラトリーサイエンスを基盤とした安全性と有効性の評価方法の確立を図りガイドラインの作成を行うとともに、東北大学大学院薬学研究科及び医学系研究科と独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)、国立医薬品食品衛生研究所(NIHS)の間で人材交流を実施し、最先端の技術を習得した人材の育成を図る取り組みをしています。


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