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アカネ
和名:アカネ
学名:Rubia akane Nakai/Rubia cordifolia L. var. munjitsta Miq.
科名:アカネ科(Rubiaceae)
使用部位:根
生薬名:センソウ(茜草)センソウコン(茜草根)
成分:alizarinなど
用途:染料(ただし現在では殆ど利用しない)
止血・利尿を目的とした民間薬的利用
追記:アカネの成分であるbicyclic hexapeptideのRA-VIIは細胞内タンパク合成のうちcyclin D1 の合成を抑制するが,その作用機序はubiquitin-proteasome pathwayを介して行われる(Wakita K., et al., Anti-cancer Drug 2001, 12: 433-439).

アマチャ
和名:アマチャ
学名:Hydrangea macrophylla Seringe var. thunbergii Makino
科名:ユキノシタ科(Saxifragaceae)
使用部位:葉および枝先
生薬名:(局)甘茶
成分:甘味成分はフィロズルチン
用途:
1)甘味料・口腔清涼剤の製造原料
2)4月8日の灌仏会で用いる
追記:
1)アマチャに含まれるsecoiridoid glucoside complexesのhydramacrosides A と Bは肥満細胞からのヒスタミン遊離を阻害する(Matsuda H.j et al., Chem. Pharm. Bull. (1999) 47:1753-1758.
2)アマチャのエキスは抗マラリア作用がある(Kamei K., et al., Acta Med. Okayama. (2000) 54: 227-232)。

アマドコロ
和名:アマドコロ
学名:Polygonatum odoratum (Mill.) Druce var. pluriflorum (Miq.) Ohwi
科名:ユリ科(Liliaceae)
使用部位:根茎
生薬名:イスイ(漢字表記できず)
ギョクチク(玉竹)
成分:アルカロイド成分など
用途:滋養強壮・強精を目的とした民間、あるいは中医処方に配剤
鑑別注意追記:類似した生薬に同科・同属植物の「ナルコユリ(P. falcatum)」=「黄精」がある.アルカロイド成分を含むので多量に服用するのは避けるべきである.
アマドコロの薬効について述べられた研究論文は大変少ないが,1994年の論文によれば本植物の根茎に含まれるステロイドサポニンはmitogenによるlymphoid proliferationを増加させるらしい‥(Lin HW., et al., Yao Xue Xue Bao 1994, 29: 215-222, abstract from PubMed).

ウイキョウ
和名:ウイキョウ
学名:Foeniculum vulgare Miller
科名:セリ科
使用部位:果実
生薬名:ウイキョウ(茴香)
用途:芳香健胃、駆風

コウモリカズラ
和名:コウモリカズラ
学名:Menispermum dauricum DC.
科名:ツヅラフジ科(Menispermaceae)
生薬名:東北防已(中国東北部)
薬効:「防已」の代用あるいは「防已」として方剤中に配剤される場合がある。
薬効は「利尿」。但し、我が国ではコウモリカズラを「防已」の基原植物として規定していない。
追記:コウモリカズラから得られたアルカロイドには虚血再潅流による臓器障害を抑制する効果があり、その作用機序の一部に脂質過酸化の抑制やSOD activityの増強作用が関与しているという(Wang F., et al., Acta Pharmacol. Sin. 2001, 22: 1130-1134)。
基原植物鑑別:生薬「防已」にはいくつのも基原植物があるので、鑑別を必要とする。
1)漢防已(=和産「防已」):ツヅラフジ科のオオツヅラフジ(Sinomenium acutum (Thunb.) Rehd. et Wils.)の根(局)
2)漢中防已:ウマノスズクサ科(Aristolochiaceae)のAristolochia heterophylla Hemsl.の根。
3)木防已:ツヅラフジ科のアオツヅラフジ(Cocculus trilobus (Thunb.) DC.)の根。
4)漢防已(=中国産「粉防已」):ツヅラフジ科のシマハスノハカズラ(Stephania tetrandra S. Moore)の根。
5)広防已:ウマノスズクサ科のAristolochia westlandi Hemsl.の根。
6)千金藤:ツヅラフジ科のハスノハカズラ(Stephania japonica (Thunb.) Miers)の茎。
7)ツヅラフジ科のタマサキツヅラフジ(Stephania cepharantha Hayata)の根。

ツルドクダミ
和名:ツルドクダミ
学名:Polygonum multiflorum Thunb.
科名:タデ科
使用部位:塊根
生薬名:カシュウ(何首烏)
用途:強壮・緩下

ナツメ
和名:ナツメ
学名:Zizyphus jujuba Mill. var. inermis Rehd.
科名:クロウメモドキ科(Rhamnaceae)
使用部位:果実
生薬名:大棗
成分:5環性トリテルペン,トリテルペンサポニン
用途:【民間適用】滋養強壮の薬用酒として利用
【漢方適用】駆水・補血・強壮・緩和・消炎を目標に配剤される要薬
鑑別:同科・同属のサネブトナツメ(酸棗=Z. jujuba Mill. var. spinosa Hu)と鑑別:サネブト(核太)ナツメの種子はナツメよりも大きいので鑑別が容易である.
サネブトナツメの種子は,生薬「酸棗仁」であり,不眠症や神経症を緩和する目的で漢方方剤中に配剤される.

ノイバラ
和名:ノイバラ
学名:Rosa multiflora Thunb.
科名:バラ科
使用部位:偽果
生薬名:エイジツ (営実)
用途:緩下(用量を間違えると毒性的に作用する)

ハッカ
和名:ハッカ
学名:Mentha arvensis Linn. var piperascens Malinvaud
科名:シソ科
使用部位:地上部
生薬名:ハッカ (薄荷)
用途:芳香性健胃・駆風を目的とした健康茶や矯味矯臭剤の原料となる。漢方方剤中にも配剤される。

ベラドンナ
和名:-
学名:Atropa belladonna L
科名:ナス科(Solanaceae)
使用部位:根
生薬名:(局)ベラドンナコン(ベラドンナ根)(劇)(指)
用途:ベラドンナエキス(局)(劇)(指):鎮痙鎮痛薬アトロピン製剤原料
成分:トロパン系アルカロイド化合物のヒヨスチアミン・アトロピン・スコポラミンなど
中毒:中枢と末梢神経系に作用して発現する。
トロパン系アルカロイド化合物として:体温上昇・腹部膨満・運動失調・精神錯乱・記憶喪失・失神・循環不全、重症では呼吸麻痺で死亡。
※ベラドンナエキスから得られるアトロピンは、医療の現場において、欠くことのできない重要医薬品の一つである。
最近の論文から:トロパン系アルカロイドを含む点眼液で薬物アレルギー(発疹や浮腫:いわゆるアトロピン発疹)を誘発した臨床報告によると,外科手術などトロパン系アルカロイドを長時間作用させなければならない状況にあったものが、術後に本アレルギーを発症しやすくなるとされる。
本副作用の発症時にはステロイド軟膏が著効する。アレルギー応答回避のためにもパッチテストが必要(Decraene T, Goossens A. Contact Dermatitis 45:309-310, 2001)。
注意:ベラドンナアルカロイド類を含む製剤:乳幼児で感受性が高く、本アルカロイド類を含む点眼薬が鼻粘膜や嚥下によって吸収され中毒を起こす場合があるので注意。
類似・鑑別:○(局)ハシリドコロ(Scopolia japonica)(劇)(指)
○ヒヨス類(Hyoscyamus nigre とH. nigre var. chinensis)(有毒)
○チョウセンアサガオ類(Datura alba Neesなど)(有毒)