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11th Singapore International Chemistry Conference (SICC-11) 2022年12月11-14日 MS2 河野 駿
シンガポールで開催された11th Singapore International Chemistry Conference (SICC-11) という国際学会に、齊藤記念薬学教育研究支援基金の支援を受け参加させていただきました。南洋理工大学の千葉先生の主催された学会で、講師の植田先生(現准教授)が講演者として招待を受けたことをきっかけに、私に白羽の矢が立ちポスター発表のチャンスをいただきました。本学会では、有機合成化学化学の分野をリードする世界的に著名な研究者と若手研究者らによる60を超える講演に加え、アジアおよび米国を中心とした世界中の学生によるポスター発表が行われました。 学会がスタートする前日(12/10)の早朝に羽田空港を出発し、7時間ほどのフライトで午後15時過ぎにシンガポール最大の空港であるチャンギ国際空港に到着しました。日本との時差は1時間しかなかったため、時差ぼけの心配はありませんでした。飛行機から降りるとすぐに常夏の地域特有の蒸し暑さを感じることができ、東南アジアにやってきたことを実感しました。その後の入国審査は問題なく通過できたのですが、大切に持っていったポスターをロストバゲージしかけた時は血の気が引きました。最終的に同じ便で到着した日本人の先生方も一緒に探してくださり、無事に見つかった時には胸を撫で下ろし、失った血の気も戻りました。空港に到着後はタクシーでホテルに向かいチェックインを済ませたのち、再びタクシーで街中に繰り出し、同じホテルに宿泊する日本人の先生方と一緒に有名なホテルに付随するショッピングセンターや展望台を楽しみました。マリーナベイサンズの最上階からシンガポールの夜景を一望できるインフィニティプールはホテルの宿泊客にしか立ち入りが許されておらず、入ることができなかったので、いつかお金を貯めて泊まりに来たいです。マー・ライオンは想像より控えめサイズでしたが、想像以上にすごい勢いで水を吐き出していました。夜には目の前にマリーナベイが広がるレストランで先生方と一緒にお酒を交えながら様々な会話を楽しみました。研究に対する熱意や学生に対する思い(&普段は聞けないようなアカデミアの事情)を聞くことができ、大変有意義な時間を過ごせたとともに大きな刺激を受けました。 1日目から4日目まで通して、有機合成化学の分野をリードする世界的に著名な研究者の講演を直接聞くことができました。論文を読むだけでは伝わってこない研究の経緯等から研究に対する考え方を学ぶことができ、強い刺激を受けました。特に、どのようにして今ある研究を発展させるかを重要視しており、先生方の並々ならぬ熱意を感じることができました。加えて、欧米の研究者は研究の内容もさることながら、発表におけるユーモアを大切にしているように感じました。発表の序盤でひと笑いがあると演者と聴衆の間でアイスブレイクでき、距離感が近くなることで発表が頭に入ってきやすいように感じました。自分の研究発表にすぐに取り入れるのは難しいかもしれませんが、欧米圏の文化を感じることができたことも良い経験となりました。 2日目と3日目には「Total Syntheses of Acochlearine and related Alkaloids」というタイトルでアルカロイドの化学合成に関する内容でポスター発表を行いました。今回が私にとって初めての海外での発表であったため緊張が拭えず、言語の違いが壁となり日本人以外の研究者と十分に議論することができるか不安に感じていました。しかし、化学者の共通言語である化学構造式を通して、深い議論を楽しむことができました。3日目には他国の研究者とディスカッションすることにほとんど抵抗を感じなくなり、自分の殻を一枚破って成長できたと感じています。また、合成化学者以外の研究者とも多く議論する機会に恵まれました。これまで参加した学会等で、他分野を理解することが難しいことはわかっていましたが、今回の学会で、他分野の研究者に自分の研究を理解してもらうことの難しさを身を持って感じました。しかし様々な視点からの指摘や助言をいただくことができ、自分の研究を多面的に見直すことができたことも私にとって貴重な機会となりました。この経験は、さまざまな分野の研究者と関わりながら研究を進めていく必要のある創薬研究者を志す私にとって大きな糧となりました。 今回の学会への参加の機会を与えてくださった、千葉先生、徳山先生、一緒に学会に参加した植田先生、要旨・ポスターに作成に当たりご助力いただいた坂田先生に厚く御礼申し上げます。また、航空券および旅行保険を手配して頂きました、本研究科合成制御化学分野 佐藤由紀秘書に厚く御礼申し上げます。最後に、齊藤記念薬学教育研究支援基金より渡航費・滞在費を含む経済的なご支援を頂きました、齊藤宏様・和子様ご夫妻に厚く御礼申し上げます。
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