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National Center for Genetic Engineering and Biotechnology (BIOTEC)

2017年5月15日-7月15日  DC2 小島 健一

私は、5月15日から7月15日の二ヶ月間、タイにあるNational Center for Genetic Engineering and Biotechnology (BIOTEC)の伊坂雅彦博士(以下、伊坂さん)の研究室に留学をさせて頂きました。BIOTECは、タイで最大の科学技術研究開発区Thailand Science Parkにある研究所の一つで、首都バンコクから北に車で30分ほどかかるパトゥムターニー県に位置しています。名前からも分かるように、ほとんどの研究室は生物系であり、有機化学を主とし研究している研究室はごく一部です。伊坂さんの所属する研究組織は、世界有数の菌のカルチャーコレクションを有することでも有名であり、タイ国内で採集した冬虫夏草、およびキノコ類からの新規生物活性物質の探索研究を行っています。今回の留学は、新学術領域研究「反応集積化が導く中分子戦略:高次生物機能分子の創製」(代表、大阪大学 深瀬浩一 教授)およびBIOTECから移動費・滞在費を頂き、実現しました。

• 研究室のメンバー
メンバーは伊坂さん以外、全員タイ人でした。そのため、研究室内では常にタイ語が飛び交っています(伊坂さんはタイ語を流暢に話せるので、伊坂さんも基本タイ語です)。さらに、十数人いるメンバーの内、男性は伊坂さんを含めた二人だけという、日本の有機化学の研究室ではあまり見られない構成でした。タイの方は、本名以外に自分のニックネームを持っており、日常ではニックネームで呼び合うのが基本です。ニックネームは短い人が多く、名前を覚えるのはそう難しくありませんでした(ちなみに、私は伊坂さんにニックネームを命名され、みんなからはKen-chanと呼ばれていました)。私にタイでの生活を楽しんでいってほしいと、いつも食べ物を買ってきてくれたり、マーケットに連れて行ってくれたりと、とても優しい方達でした。

• 実験室、研究テーマ
主な設備は徳山研と変わりありませんが、単離を行う研究室ということで、カラムやHPLCは桁違いにありました。研究所には高磁場NMRや高分解能MS等も備わっており、最先端の研究を行うのに十分な機器が完備されていました。また、菌を培養するための部屋もあり、合成系の研究室しか知らない私にはとても興味深い光景でした。私が伊坂さんから頂いた研究テーマは、天然物を化学修飾し、絶対立体配置を決定するといった内容でしたので、徳山研で培った合成の経験を生かすことができ、問題なく研究に勤しむことができました。

• 研究発表
BIOTECに着いた最初の週に、私は徳山研での研究内容を20分程度で発表させて頂きました。全く違う分野なので質問が出るか不安でしたが、基礎的なことでも質問をしてくれたので嬉しかったです。英語での発表は、徳山研での報告会以外で行ったことがなかったので、今後の国際学会の際に自信に繋がる良い経験になったと思います。

• タイ料理、そして腹痛へ・・・
施設内にはいくつかの食堂があり、昼食はみんなと一緒にその食堂を日によって替えて行っていました。タイ料理は、聞いていた通り辛いものが多かったのですが、どれも美味しく、なおかつ安いため、つい食べ過ぎてしまうこともありました。しかし、綺麗な花にはやはり棘があります。タイで生活を始めて間もなく、私はひどい腹痛に見舞われました。研究室のみんなからは、唐辛子などの辛いものが原因なんじゃないかと言われていましたが、私は辛いタイ料理を食べ続けていました(辛いものを選んでいるわけじゃなく、美味しそうに見えるタイ料理は辛いのです)。案の定その後も腹痛は続きましたが、日本に帰国した今、私は既にタイ料理が恋しいです。

•ルームメイト
私が住んでいた宿舎は、施設内にある留学生用の宿舎です。私の部屋は二人部屋で、私が初日着いた時には深夜0時を過ぎており、既にベッドに人が寝ていました。彼の名はOliver。イングランド人の大学生で、彼は帰国日が偶然にも私の帰国日と一緒で、その日でちょうど一年の滞在になるベテランでした。何も知らない私に、彼は食堂やショッピングモールへの行き方、さらに各国から来ている留学生を紹介してくれるなど、私がタイで楽しく過ごせたのは彼のおかげと言っても過言ではありません。Oliverはゲームや日本のアニメが好きだったので、私と趣味が合い、そう言った話で時々盛り上がっていました。タイの留学で、予想外にも英語圏nativeの人とルームメイトになれたのは、英会話の勉強にもなり、とても幸運なことだと思いました。少し困ったことは、彼は寝る時、冷房を強めで寝ます(かつ上半身は裸)。私も暑がりな方ですが、あまりにも寒く、まさかのタイで寒くて眠れないという状況に至りました。ルームシェアの難しさも知ることのできた良い機会になりました。

•観光
Thailand Science Park内で知り合った人達に、世界遺産に登録されているアユタヤ歴史公園という遺跡群に連れて行ってもらいました。日本では見ることのできないような遺跡がいくつもあり、さらに夜には遺跡がライトアップされ、とても幻想的で目を奪われました。また、共同研究者は私に、バンコクにある有名な寺院ワットポーや、カオサン通りなどの観光スポットを案内してくれました。バンコクにはたくさんの高層ビルやショッピングモールがあり、人も非常に多く、東京に似ていると思います。しかし、明らかに違うのが、例えば豪華なホテルの前の路上に昔ながらの屋台が平然とあったり、また少しバンコクを離れると建物が一気に減り、田舎の風景になったりします。その異様な光景は、まさにバンコクが急速に発展してきた証拠なのだと思います。

•研究留学のすすめ
タイでの二ヶ月間は、充実していてあっという間に過ぎていきました。私は元々、留学に対してあまり前向きに考えてはいませんでした。今まで海外に行ったことは一度もなく、英語もあまり得意ではなかったからです。しかし、将来英語を話さなければならない時が必ず来ると思い、若い時の苦労は買ってでもせよの意気で今回の留学を決めました。いざ海外に出てみると、流暢な英語ではありませんが、nativeの人と会話ができることに楽しさを感じ、出発前の不安は全く無意味なものだったと気付かされました。留学をしなければ、人生を損していたと思います。また、ルームメイトのOliverも含め欧米の方達は、積極的に一年程の長期を留学に費やし、専門的な研究や異文化交流を当たり前のように行っています。日本では、国際化が進んでいるとはいえ、言語の壁もあり留学はまだまだハードルの高いものとなっていますが、もし留学の機会がある方や、留学を迷っている方がいるのであれば、絶対に挑戦すべきだと思います。

最後に、指導してくださった伊坂さん。お会いする前は、中村栄一研時代の徳山先生の先輩ということで(特に深い意味はありませんが)、怖くて厳しい人を想像していました。しかし実際に会ってお話をすると、優しく気さくな方で、正直なところ心から安心しました。伊坂さんは、自身の研究室で行っている研究内容はもちろん、菌の培養法や抽出法など、細部に渡り教育的に教えてくださり、非常に勉強になりました。また、ディスカッション(雑談も含む)では時々1時間以上話し合うこともあり、熱心に指導して頂きました。二ヶ月間という短い間でしたが、私にとっては忘れることのない貴重な経験になったことは間違いありません。伊坂さんの日本人弟子第一号になれたことに誇りを持ち、今後の研究により一層励んでいきたいと思います。最後になりますが、BIOTECで私を迎え入れてくれた研究室のメンバー、ルームメイトのOliver、そして今回の貴重な留学の機会を与えてくださった伊坂さん、徳山先生、新学術領域研究およびBIOTECの関係者の方々に厚く御礼申し上げます。

►BIOTEC正面入り口
正面入り口は場所があまり良くなく、ほとんどの人が裏口を使っていました。

►実験室
カラム、サンプルの数がとても多いです。また、ドラフトの用途の1つとして、カラムで分けたフラクションの溶媒を放置して飛ばしたりと、徳山研とは違う使い方に驚きました。

►培養室
静置や、撹拌しながら菌を培養する部屋です。

►研究室のメンバーとの食事
伊坂さんはみんなと外に食べに行った際、毎回全員分の食事代を払って下さいました。

►徳山先生ご来訪
6月下旬に、徳山先生がBIOTECに講演されに来ました。記念撮影場所は、まさかの去年崩御されたラーマ9世の遺影前でした。

►宿舎の部屋
私とOliverの部屋です。洗面所・シャワー・トイレもしっかりあり、また週に二回スタッフが入り掃除をしてくれるなど、快適に過ごすことができました。

►China Town (Yaowarat)
ルームメイトのOliverと、インドネシア人の留学生とバンコクのChina Townに遊びに行きました。

►飲み会
Oliverの紹介で、各国からの留学生達と近くのバーで飲み会をしました。

►Wat Chaiwatthanaram
アユタヤ歴史公園の1つです。ライトアップの演出が神々しいです。ちなみにwatはタイ語で寺院の意味です。

►Wat Poh
共同研究者のP Mee-chanとその旦那さんとでバンコクの観光スポットに行きました。ちなみに、寝ている涅槃仏は私より大きいです。

►カオニャオマムアン
ココナッツミルクで炊いたもち米とマンゴーの、日本では考えられない組み合わせのデザートです。私はす、好きです・・・。

►カナームークロップ
カイランという野菜(カナー)と、カリカリに揚げた豚肉(ムークロップ)を炒めた料理です。私は大好きです。

      

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Last Updated July 24, 2014