tohoku-logo  

title


 
 Japanese/English

 Top Page

 Member

 Research

 Completed
 Targets

 Publication

 Presentation

 Education

 Facility

 Photo

 Link

 

 

 

 

 

 

Max Planck Institute of Molecular Physiology

2016年7月27日-10月13日  DC2 吉田 慶

この夏、学術振興会特別研究員奨励費を利用して、ドイツのマックスプランク分子生理学研究所Herbert Waldmann研に2ヶ月半ほど留学させていただきました。マックスプランク研究所は日本の理研のような研究機関で、ドイツ国内の至る所に様々な分野の研究所が点在しています。その中でも、分子生理学研究に特化した研究を行っているのが、Dortmundにあるマックスプランク分子生理学研究所です。 Waldmann研の研究テーマは、新しい方法論を用いて生物活性天然物類似骨格ライブラリーを迅速に構築し、新たな生物活性を見出したり標的タンパク質 を決定したりするというもの(Biology-Oriented-Synthesis: BOS)で、ケミカルバイオロジー分野に含まれる研究領域です。そのため、構成員は約70%が化学者、約30%が生物学者でした。

• 共同研究者
私は、Waldmann研のDr. Kumar groupに所属させていただきました。Dr. Kumar groupでは、不斉ホスフィン触媒や不斉ルイス酸触媒を用いて、生物活性天然物類似骨格を迅速に構築するための反応開発を行っています。私は、インド人 ポスドクのDr. Sankarのもとで、日々楽しく元気に研究をさせていただきました。

• 実験室
実験室のスペースは、日本と比べてかなり余裕がありました。通常は4人に一部屋割り当てられていましたが、私のラボでは、二人の学生が生物系の実験のため に別のラボで実験をしていたので、スペイン人ポスドクと二人で一部屋を使えました。また、一人一台ドラフトと作業台(ベンチ)が与えられ、快適に実験を行うことができました。
 
• Retreat(研究室合宿)
9月19日〜9月21日の3日間、Waldmann研の合宿(retreat)に参加させていただきました。場所は、Mainzに近いEbernburg という小さな町で、伝統のある古城ホテルで行われました。今回のretreatでは、主にresearch proposalの発表が行われました。Research proposalとは、化学者と生物学者が7~8人程度のグループに分かれて、それぞれのグループで新しいタイプの薬やケミカルプローブを提案する形式の発表です。その内容は、化合物ライブラリーを構築するための新規反応開発からはじまり、生物活性の評価方法、さらには研究に要する期間や予算まで提案するもので、とてもよい勉強になりました。
夕食後には、ポスターセッションも行われました。お酒を飲みながら、気軽な雰囲気で行われるので、化学者に限らず生物学者とも活発な議論を交わし、様々な分野の知識を吸収できました。
さらに、2日目の夜にワインの試飲会が開催されました。5本程度のワインの味見とワイナリーの方の説明が聞ける、非常にエキサイティングな会でした。最後に、味見したワインを注文する時間が設けられているのですが、みんな酔っているということもあり、何本も注文している人が多く見受けられました。もちろん私も購入してしまいました。

• Group meeting での研究発表
研究室を去る直前に、Dr. Kumar group meetingにてドイツでの研究成果を発表する機会を与えていただきました。初めての外国人を前にした口頭発表でしたが、入念に準備した甲斐もあって無事に終えることができました。ちなみに、こちらのgroup meetingでは発表後に拍手を送るのではなく、机をたたいて賞賛してくれます。最初は発表者を煽っているのではないかと勘違いしました。本発表を通じて、海外の研究者に自らの研究成果をアピールする上で、英語は必要最低限のコミュニケーションツールであると改めて強く感じました。

• Farewell Party
ドイツの送別会のスタイルは、日本とは大きく違っていました。というのも、祝ってもらうのではなく、日頃の感謝の気持ちを込めて自らパーティを企画するのがドイツの一般的な風習だからです。郷に入れば郷に従えということで、私も研究室を去る直前に送別会を企画しました。私の場合は、おにぎり(手作り)と日本のスナック菓子をお世話になったメンバーに振る舞いました。正直なところ、おにぎりのできはあまりよろしくなかったのですが、みんなおいしいと言ってくれて一安心しました。これで、思い残すことなく日本に帰国することができました。

• Borussia Dortmund (BVB)
Dortmundと言えば、みなさん思い浮かべるのはフットボールではないでしょうか?Borussia Dortmundはbundesligaの中でも強豪チームで、Dortmundの人たちはborussia Dortmundが大好きです。試合日になると、黄色のユニホームを着た人たちで町中が埋め尽くされます。私は、一度だけ観戦に行くことができたのです が、圧倒的な観客数(8万人はヨーロッパ最大級)や熱狂的な応援、さらに選手たちの華麗なプレーに魅了されてしまいました。観客の多くは日本人に対して非常に親切で(香川選手の影響だと思います)、近くの席のおじさんがビールをごちそうしてくれました。

ドイツでの2ヶ月半は本当にあっという間でした。留学してみて本当によかったと思うことは3つあります。1つ目は、海外へのハードルが 下がったことです。留学する前は、一人で海外に行ったこともなく非常に不安でしたが、いざ海外に行ってみると、少しの度胸と勇気とチャレンジ精神があれば、ある程度のことは乗り越えられるのではないかと感じました。2つ目は、様々な人々との出会いです。同年代の研究者がどのようなことを考えているのか、化学のレベルはどのくらいなのかなどを知ることができて、貴重な経験となりました。また、海外の研究者とコネクションができたことも、今後の大きな財産になると考えています。さらに、ドイツ在住の日本人の方ともお話する機会もありました。日本ではなかなか出会えない日本人の考え方や、日本に対する思いも拝聴でき、非常に有意義な時間でした。3つ目は、学位に対する認識の違いを学べたことです。日本だと、修士の学位を持っていれば企業の研究者としてやっていけることが多いので、博士の学位はプラスα的なものとしてみられがちかも知れません。その一方で、ヨーロッパでは、最低でも博士の学位がないと研究者としてはやっていけないとのことでした。修士の学位はあくまでテクニシャンという認識でした。
ドイツ留学を通して、将来、今回とは違った立場(ポスドクまたは企業研究者)として海外へ行きたいと強く感じました。
最後に、今回のドイツ留学の機会を与えてくださった、土井隆行教授と徳山英利教授に厚く御礼申し上げます。

►Dortmund
Dortmundは、ドイツの北西に位置しています. オランダに近いです.

►Max Planck Institute of Molecular Physiology (MPI-dortmund)
MPI-dortmundの外観. 円形の建物はレクチャーホールです.

►Prof. h. c. Herbert Waldmann
Waldmann先生とretreatでの2ショット. まさかの逆光でした.

►Dr. Kamal Kumar (group leader)
お世話になったgroup leaderのDr. Kumar.

►Dr. Gomathi Sankar
直属のインド人ポスドクDr. Sankar. とても親切できさくな方でした.

►Laboratory 1
実際に使っていた実験台です.

►Laboratory 2
ひとり一台このサイズのドラフトが与えられます.

►Retreatでのエクスカーション
研究室合宿のエクスカーションで古城ホテルの近くの城壁までハイキングしました.

►Farewell Party 1
お世話になった研究室のメンバーにおにぎりや日本の菓子を振る舞いました.

►Farewell Party 2
おにぎりや日本のスナックについて研究室のメンバーに説明している様子.

►Sigunal Iduna Park
Borussia Dortmundの本拠地. ヨーロッパ最大級のスタジアムで8万人収容可能です.

►BVBのサポーター
試合が始まる前に、マフラーをかざして応援歌を歌います.

      

戻る

 

Last Updated July 24, 2014