エニワセミタケ
学名 | Cordyceps sp. nov. D. Shimizu |
発生地 | 北海道・恵庭 |
採取年月日 | 2003年8月28日 |
特徴・解説 |
同翅亜目 Homoptera のセミ科 Cicadiae の幼虫に寄生する地中生の冬虫夏草属菌で幼虫の頭部から子実体を単一に発生し、ときに頂部で枝分れするものもある。先端は突き抜き型となり、肥厚した結実部を形成し、半埋生の子嚢殻 perithecium を不規則に密布させる。 本種の子実体の柄は円柱状で、地下部は地中の埋石、木根のため中途で屈曲しているが、弾力性ある肉質で折れない。宿主からの長さ約11cm、太さ3~5mm 、地上部の高さ2.5cm 、枯葉の間から発生し、色は淡黄色を帯びる。地下部は茶褐色から基部へ向かって濃い褐色に変わる。 ノムシタケ属 Cordyceps のセミに寄生する冬虫夏草属菌の仲間には、分生胞子型のツクツクボウシタケを含めて42種を数える。北は北海道から南は八重山諸島の西表島まで日本列島、セミの生息している地域には種々のセミタケが発生し、今後も新しいセミタケの発見が期待される。 とりわけ、本種のエニワセミタケはトドマツ林内に発生する北方系のセミタケで、青森県以南では未だ発見されていない。 子嚢殻の大きさは350-400×160-200μm。子嚢の幅1.8μmで、長楕円形または卵形、子嚢殻の口縁部は淡黄色の円形で結実部に密布する。 日本固有種で現在だは北海道のみに発生する。 学会未記録種 人工培養(菌株CY153) |