鱗翅目Lepidoptera.スズメガ科Sphingidaeの成虫に発生する虫寄生菌で、本種は水飛沫の上がる水量の多い岩場の苔上に発見された学会未記録種の冬虫夏草属菌である。
鱗翅目の昆虫に寄生する冬虫夏草属菌は鞘翅目と同じく多くの種類、世帯を有している冬虫夏草属菌群である。しかも鱗翅目に限り成虫に感染して寄生する子嚢菌類は多く発見されており、ガヤドリナガミノツブタケ、ガヤドリキイロツブタケ、アメイロスズメガタケなどがある。
本種は1985年の夏、山形県は北東部の栗駒山系に入る山刀伐峠の山麓で発見された冬虫夏草属菌の一種で、子実体が筆の穗の形態からフデノホスズメガタケと命名された。
俳聖・芭蕉が曾良と共に山越えした奥の細道、山刀伐峠の入口には樹齢200年を越す樹林帯が覆い、鬱蒼とした茂みは緑濃い視界に包まれ、薄暗い足元には清らかな小川が昔ながらの時を刻んで今に流れている。植物相はタニウツギ、ムシカリ、カシワ、サワグルミ、ミズナラ、トキノキ、ホウノキなどが繁茂している。
子実体stromataは筆穂状、高さ18ー19mm、太さ2.0ー4.3mm、頭部の結実部はやや太く4.0ー5.1mm、透明なシトロンイエローの子嚢殻peritheciumを裸生型に密布する。人工培養菌
（菌株C-Y103） | 
