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ハチタケ

学名Cordyceps sphecocephala (KL.) Sacc.
中葯分類黄蜂虫草
採取矢萩信夫
特徴・解説

 膜翅目(Hymenoptera)のハチやアリに寄生する冬虫夏草属菌である。子実体は全体的に橙黄色を呈し、ハチの頭部の結節部や口部より発発する。子嚢部分はミミカキ型で長楕円形、柄は針状で土中の宿主体から絡み合いながら、時に直線的に伸長する。
 本菌は図のように、スズメバチから発生しており、ハチの外皮はそのままであるが、内部は硬い白色の菌糸体で覆われ、ハチ本来の消化器官や筋肉組織は全く認められなかった。本菌はキチン・ケラチン質を除くハチの体組織を栄養源として発生し、世代を繰り返す。
 1754年、スペイン人宣教師の J. Torrubia は、西インド諸島においてハチタケを発見し、これをハチが草と化し、キノコが発生したのだとして挿し絵入りでして紹介して世界を仰天させた。
 本菌は、1983年に山形県内のとある鬱蒼とした自然林の中で発見された。発見した当初は感動のあまり、手が震えたことを記憶している。
 なお、本菌の培養液については矢萩らによって抗腫瘍活性があることが報告された(第16回・日本薬学会東北支部大会、1977)。

文責:矢萩信夫