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イリオモテハナセミタケ

学名Isaria spp. D. Shimmizu
発生地沖縄県西表島
採取年月日1977年6月
特徴・解説
 八重山諸島の最南端に位置する亜熱帯雨林の西表島で発見した冬虫夏草属菌である。既に故人となられた冬虫夏草属菌類の分類学者である清水大典先生は西表島で、本菌のイリオモテハナセミタケ、イリオモテクマゼミタケ、カンザシセミタケなど多数のセミの幼虫に寄生するセミタケを発見された。
 セミに寄生する虫草のうち不完全世代の Isaria 型子実体を形成するのは本菌のイリオモテハナセミタケやツクツクボウシタケがその代表例である。
 さて、不完全世代を形成する虫草菌の命名においてIsariaはPaecilomycesとして表記すべきであるとの説が虫草菌研究の草分けで泰斗である小林義雄博士(故人)によって次のように論説された。イザリア型菌はカビ菌とは異なり、子実体に分生子束である、いわゆるsynnemaを形成することから、冬虫夏草属のイザリア型はカビ属とは形態的に全く異なると思われる。
 本菌のイリオモテハナセミタケはイリオモテセミタケ(C. pseudolongissima)の不完全型である。イリオモテセミタケとイリオモテハナセミタケの関係のように、セミタケ(C. sobolifera)はIsaria sinclairii であり、ウスキサナギタケ(C. takaomontana)はハナサナギタケ(Isaria japonica)である。