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カマブチオオハリタケ

学名Cordyceps sp. nov.
発生地山形県・釜渕
採取年月日1978年8月12日
特徴・解説

 大型の鱗翅目 Lepidoptera. の幼虫(イモムシ)に寄生するノムシタケで、日本で最も巨大な子実体をつくる冬虫夏草属菌である。子実体 stroma はハリタケ型で、長さ18~19cm にもなる。
 鱗翅目に寄生する巨大型冬虫夏草属菌類の中には、ニュ-ジ-ランドで発見されたオオトウチュウカソウ Cordyceps robertsii (Hook.) Gray(1858) があり、子実体の長さ10~38cm になる。
 他にイモムシに寄生する一般的寄生菌には、子実体が棍棒状のトサカイモムシタケ、ミジンイモムシタケなどがあり、大きさ、形、色合い、共に本種と全く相違する。
 イモムシの頭部、背部より強靱な弾力性のある子実体を発生させる。地生型で湿度の高い、渓谷の流畔に発見された虫草で、発生周囲の植物層にはタニウツギ、トチノキ、ヤマグワ、マタタビ、オオカメノキ、クヌギ、コナラ、カシワ、サワグルミ、高木ではスギ、ホウノキ、ミズナラ、ブナが生育し、近くに中流の滝があり、滝壷より水飛沫が舞っている。
 宿主 host である幼虫の大きさは7cm になる。子実体はハリタケ型、不規則に捩れ、結実部の子嚢殻 perthecium は裸生、楕円形、茶褐色、ハコベの穂のように密布する。柄の太さ2~2,3mmで肉質状革質、茶褐色で、表面は滑らかである。
 日本特産、2例目未発見。人工培養菌株 C-Y78