クモノオオトガリツブタケ

　蜘蛛目Araneinaに寄生するクモ寄生菌で、極めて微小なクモの成虫を殺傷し、これに発生する。
　クモの成虫に寄生し、寄生型の菌で、本種の他に釜渕発見のクモ寄生新種にクモノエツキツブタケが記録される。
　トルビエラ属のクモタケは虫体を菌糸体で覆う菌座の表面上に子嚢殻Perithecium を裸生状に形成するのが普遍的トルビエラ型の特徴である。本種はタマコグモ体長約１mmに満たない小さいクモに寄生する。子実体を形成せず、綿状の菌糸体が球状の菌座Stromaとなり、裸生の大きな子嚢殻を発生、不完全型の分生子柄 conidiophormを球状に造るのが種の特性である。
　苔に着床し、宙吊り状に発生している。クモの活動状態のままに感染し、虫体、クモの糸蛋白を分解して栄養源とし、球状の菌糸塊をつくる。表面には無数の紫色球状の分生胞子をつける。子嚢菌は長円錐形、裸生型で美しい淡黄色、後にアメ色に変わる。
　大きさ1000-1300×400μ. 子嚢胞子Ascospora は細長い糸状で、子嚢の太さ3-4μ.　放出後、隔壁から分裂して２次胞子となり空中へ飛散させる。山地渓畔の流水でえぐられた窪みにある苔、枯草、杉の枯葉、枝などから下垂して発生する。
発生時期７末～８月。

　日本特産　人工培養菌（菌株C-Y137)