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ツクツクボウシタケ

学名Isaria sinclarri (Berk.) Lloyd
発生地 
採取年月日 
特徴・解説

 本菌はセミ科(Cicadae)のツクツクボウシの幼虫に寄生し、完全世代を形成するツクツクボウシセミタケ(Cordyceps sinclairri Kobayashi)の不完全世代(Isaria)型である。なお、セミの幼虫に感染する虫寄生菌では、本菌が唯一無二のIsaria型である。本菌は1998年8月、本園の職員と共に青葉山の理学部植物園内で採取したものである。
 本菌は日本、中国、台湾、南アメリカ。スリランカ、マダガスカル、ニュージーランドでその発生が確認されている。日本では宮城県から沖縄の石垣島までの分布が確認されている。
 ツクツクボウシタケの薬理学的研究に関しては、摂南大薬の藤田哲朗教授らのグループによって免疫抑制作用を有するmyriocinという物質が単離され、本物質が既存の免疫抑制物質のcyclosporin-Aよりも強力であることが示された。今後、臓器移植の臨床現場において本物質が役立つことを期待したい。
文責:矢萩信夫