外来異物の暴露、飲酒、喫煙、食事、薬の服用などの作用は薬物代謝酵素活性に変動をもたら
すと考えられています。現在、飲酒や喫煙により薬物代謝酵素の含量が増加する(酵素誘導)こと
が知られています。また食品や飲み物に含まれるある種の成分が薬物代謝酵素を誘導したり阻害し
たりすることも知られており、これらと薬を同時に飲んだ場合、薬が効きすぎたり、あるいは効か
なかったりする場合があり、薬の飲み合わせに注意を払うことが求められています。
 一例を上げるとグレープフルーツジュースを飲むとある種の薬物代謝酵素活性が阻害されます。
そのため薬とグレープフルーツジュースを同時に摂取すると、薬が体内で代謝されないため、予期
しない薬の作用が出ることがあります。 我々の研究室ではグレープフルーツジュース中のどの成分
が薬物代謝活性に影響を与えるのかを明らかにしており、どのような薬物代謝酵素が、どのような
機構で阻害されるのかについて研究しています。さらに健康食品中の成分のうち薬物代謝酵素を誘
導したり阻害する成分について、その構造の同定と機構の解析を実施しています。