MB&M 代謝制御薬学分野 東北大学大学院薬学研究科 生命薬学専攻

分野紹介

微量元素・活性種の代謝を分子レベルで理解し、その制御方法を創薬に活かす

私たちの体は、数多くの元素から構成されています。その中には全体の1%にも満たない微量元素が存在し、全身の恒常性維持に重要な役割を果たしています。代謝制御薬学分野では、生体における微量元素の役割に着目し、その生理的役割、特に反応性の高い活性酸素や有害物質に対する防御作用について分子レベルでの研究を行っています。これまでの研究から、微量元素の代謝異常が、糖尿病やがん、神経変性疾患に関わることが明らかとなってきました。私たちは、微量元素の研究から、その制御方法を開発し、創薬へとつなげる取り組みを行っています。

研究手法として、生化学・分子生物学的手法を基軸とし、ノックアウトマウスなどの遺伝子改変動物やモデル細胞を用いた研究を行っています。近年進歩の著しい網羅的解析手法も取り入れ、疾患バイオマーカーの同定から治療法開発につなげる研究を行っています。高度な研究技術を持ち、世界で活躍できる研究者の育成を目指しています。

図の解説:
呼吸によるエネルギー産生の課程で消費する酸素の内、その数%は反応性の高い“活性酸素種(Reactive Oxygen Species, ROS)”になることが知られています。ROSは、生体分子を酸化・変性するため、その存在は危険です。私たちの体には、ROSを除去する抗酸化システムが存在しており、ROSの生成と抗酸化システムによる除去がバランスをとった形で存在しています。一方近年、ROSが細胞応答に重要なシグナル分子として機能することも明らかとなり、ROSが少なすぎることも生体に悪影響を及ぼすと考えられています。ROSが多すぎる、あるいは少なすぎることによるバランスの崩れは、細胞死や炎症だけでなく、エネルギー代謝や細胞増殖、転写調節など多様な影響を及ぼすことが分かってきました。代謝制御薬学分野では、生体内におけるこのバランスの重要性について分子レベルでの理解を進めるとともに、バランスを崩す因子として、重金属や毒物、栄養不全に着目した研究を行っています。