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令和7年度「齊藤記念薬学教育研究支援基金」国際会議研究発表経費支援事業報告

令和7年度齊藤記念薬学教育研究支援基金成果報告

  • 代謝制御薬学分野
  • 博士課程前期2年の課程 2年次
  • 髙島 隼人

 今回私は、2025年10月25日~29日に韓国のKAIST (韓国科学技術大学院) @ daejeonで開催された13th International Symposium on Selenium in Biology and Medicine (ISSBM13) に参加しました。「Investigation of the mechanism underlying methylmercury-mediated suppression of selenium utilization and identification of sensitivity determinants through stepwise deletion of selenium metabolism」という演題で、環境汚染物質であるメチル水銀の毒性発現機構に対する必須微量元素セレンの関与についてポスター発表を行いました。

 本学会は自身の研究の根幹でもある「セレン」というテーマに関して、生化学や医学、有機化学など幅広い分野の研究者が集まっており、最新の研究成果に触れることができました。さらに、普段論文等で目にする著名な研究者の公演を現地で聴き、交流することで自身の研究意欲の向上にもつながりました。

 私は今回の学会参加を通じて以下の2つの成果が得られたと感じております。
 1つ目は、英語でのコミュニケーションに対する苦手意識を払拭できたことです。私は、これまで国際学会への参加はおろか海外渡航の経験もなかったため、英語での研究発表やディスカッションに不安を感じていました。所属研究室に留学生は在籍しているものの、英語での議論では自分の考えを正確に伝えられないことが多く、こんな状態で自身の研究を理解してもらえるのか、海外の研究者とのディスカッションができるのか、という思いがありました。実際、ポスター発表では思うように言葉が出てこなかったり、質問を聞き取れないことがあったりと戸惑う場面もありましたが、拙い英語でも自分の考えを伝えよう、相手の言葉を理解しようとする姿勢があれば議論を行えることを実感しました。積極的な姿勢は英語のみならず、日本語でのコミュニケーションでも活かすことができるため、貴重な経験ができたと考えております。

 2つ目は、自身のキャリアの選択肢として留学を考えられるようになったことです。これまでは、英語力に自信がないこともあり留学を勧められてもいい返事をすることができませんでした。しかし、発表を通して英語での意思疎通には姿勢が重要であることを知り、また最先端の研究を行っている海外の研究者と交流する中で、今回得られた繋がりを活かし、自身が研究者としてより成長するためにも留学は非常に有意義であると感じるようになりました。

 本学会への参加を通して、自身の研究分野に関する知見を深められたとともに、英語力や研究力など、自身の至らなさにも気づくことができたことは大きな収穫だったと考えております。今回の経験を糧に、博士課程進学後もより一層研究活動に精進したいと思います。

 最後に、この度の韓国での学会参加にあたりまして、渡航費・滞在費等の経済的なご支援を賜りました齊藤宏様・和子さまご夫妻に厚く御礼申し上げます。

  • 薬理学分野
  • 博士課程前期2年の課程 2年次
  • 白鳥 礼奈

 今回私は、アメリカ・サンディエゴで開催された「Society for Neuroscience」にてポスター発表を行いました。本学会は神経科学の分野において世界で最も規模の大きい学会であり、最先端の研究が数多く発表されています。本学会で、私は「The insular cortex modulates autonomic nervous activity, heart rate, intestinal motility, and blood glucose levels」というタイトルで、脳-末梢連関において重要な脳領域の一つである島皮質が、心拍や腸の蠕動運動といった末梢臓器活動を制御することを示した成果を発表しました。本研究は、私たちの身体を正常に保つ上で重要な、恒常性のメカニズムを解明する一助になると期待されます。

 本学会に参加するにあたって、私はこれまで国内での発表経験しかなく、海外の方に向けて英語で発表する機会はほとんどありませんでした。また、英語力にも自信がなかったため、本学会に向けて約半年間英会話を習い、発表練習を重ねることで、少しでも本番に良い議論ができるよう準備しました。本学会の参加により得られたことを2つ紹介いたします。

 1つ目は、英語でのコミュニケーションに対する苦手意識を払拭できたことです。準備をして学会に臨んだものの、発表当日はかなりの不安がありました。しかし、拙い英語でも伝えたいことを簡潔に述べられれば、意外にもコミュニケーションが取れることを実感できました。この経験は、今後自身の研究を海外へ発信していく上での大きな糧になると考えています。

 2つ目は、自身の研究とより近しい研究について学ぶことができた点です。本学会は規模が大きく日本の主要な神経科学の学会と比べて約10倍の演題数があります。そのため、本学会では自身の研究とかなり近い研究について聴講することができ、実験の手技や方針など参考になる演題が数多くありました。それと同時に、競合する研究の存在を知ることができ、自身の研究をそうした研究とどう差別化するかを考える良いきっかけになりました。

 最後に、渡航費・滞在費を含む経済的なご支援をしてくださった齊藤宏様・和子様ご夫妻に厚く御礼申し上げます。海外の学生や先生方と自身の研究について議論できたことは大変貴重な経験でした。この経験を活かし、国際的に活躍できる研究者を目指して、修士および博士課程進学後も引き続き研究活動に励みたいと思います。

  • 医薬製造化学分野
  • 博士課程前期2年の課程 2年次
  • 西塚 海翔

 今回私は、2025年12月15日から20日まで米国ハワイ州のホノルルで開催された環太平洋国際化学会議2025 (Pacifichem 2025) に参加しました。本国際会議は、環太平洋地域の多くの国・地域から化学者が集う、参加者約一万人規模の非常に大きな学会でした。

 本会では、二つの研究テーマについてポスター発表を行いました。一つ目の発表は、学部生時代に取り組んだ研究であり、「Total Synthesis of Betuphenone F and Clusiacitran B」を発表タイトルとする、新薬の開発が強く求められている膵臓がんに対する新規治療薬候補天然物の全合成研究になります。二つ目の発表は、現在修士課程で進めている研究で、「Synthetic Studies on the Bisindole Alkaloid Pycnanthinine」と題し、新たな中分子医薬品のシーズ化合物として期待されているものの、構造の複雑さから未だ化学合成が達成されていない二量体型アルカロイドの合成研究になります。

 今回の学会参加を通じて、私は大きく2点の成果を得られたと考えています。
 一つ目は、海外の研究者の研究に対する高い熱意を直接感じることができたことです。学会期間中、2日間に渡って開催された天然物の全合成研究に関するシンポジウムにおいて、口頭発表を拝聴しました。その際、若手研究者から著名な研究者に至るまで、当該分野を牽引する研究者による活発な議論が行われており、研究に対する強い興味やその深い専門知識に圧倒されました。さらに、研究室での勉強会で紹介された研究についても発表が行われており、勉強会では十分に理解できなかった点について、詳細な説明を聞くことでより理解を深め、新たな知見を得ることができました。

 二つ目の成果は、海外の研究者と直接議論を行うことができたことです。私はこれまで学会への参加経験がほとんどなく、加えて海外渡航の経験もなかったため、当初学会への参加に大きな不安を抱えていました。実際、現地の飲食店などで英語による会話を試みた際には、ネイティブスピーカーの会話の速さから、ほとんど会話ができませんでした。このような状況から、ポスター発表において円滑な議論が行えるか不安を感じていましたが、実際の議論では、資料を用いた説明や身振り手振りを交えたコミュニケーションによって、自身の考えを相手に伝えることができたと感じています。これまで、文法を考えてきれいな文章を話さなければいけないという意識が強かったのですが、単語をつなげた簡潔な表現であっても十分に意図が伝わることを実感しました。この経験を通じて、英語を話すことに対する心理的な障壁が大きく低減したように感じます。

 今回の国際学会への参加を通じて、英語に対する抵抗感をある程度払拭できたと考えていますが、発表内容を十分に聞き取り、円滑な議論を行うための語学力にはなお課題があることを痛感しました。また、研究においては、特に同世代の研究者の研究に感化され、これからの研究活動に対する大きなモチベーションに繋がりました。このような貴重な経験は、渡航費・滞在費などの経済的なご支援を賜りました齊藤宏様および和子様ご夫妻によるご厚意あってのものだと感じております。齊藤宏様および和子様ご夫妻に厚く御礼申し上げます。今後、この経験を活かし、研究活動を通じて社会に還元できるよう一層努めてまいります。

  • 合成制御化学分野
  • 博士課程前期2年の課程 2年次
  • 阿久津 周平

 今回私は、12月15日から12月20日の間にホノルルで開催された、環太平洋国際化学会議2025(Pacifichem 2025)に参加しました。「Aerobic Oxidative Peptide Synthesis Using Nitroxyl Radical/Copper Cooperative Catalysis」という題目で、医薬品として有用なペプチド分子の、空気酸化的手法を応用した新規触媒的合成法について、ポスター発表を実施しました。
 本国際会議は、世界各国の化学系の研究者が一同に介し、自身の研究成果を共有する場です。そのため、有機合成化学を専門とする申請者にとって、最新の研究動向に直接触れる絶好の機会であると同時に、多様な参加者との交流を通じて国際的な人脈を構築できる、非常に有意義な機会となりました。

 本学会への参加を通じて、主に2つの成果が得られました。
 一つ目は、自身の研究に対して多くのご指摘・ご提案をいただけた点です。ポスター発表を通じて、様々な国の学生や教員と活発なディスカッションを行うことができました。その中で、本手法をより環境調和性に優れたものとするためのアプローチや、合成化学的に一層有用な手法とするための改善策について、具体的かつ斬新な提案をいただくことができました。

 二つ目は、英語によるコミュニケーション能力が向上した点です。私はこれまで海外渡航の経験がなかったため、英語によるコミュニケーションやディスカッションに不安を感じていました。しかし、学会中の質疑応答やポスター発表に加え、日常生活における英語でのやり取りを通じて、自身の英語力が大きく向上したことを強く実感しました。

 最後に、本学会への参加にあたり、渡航費・滞在費等の経済的なご支援を賜りました齊藤宏様・和子様ご夫妻に、厚く御礼申し上げます。齊藤記念薬学教育研究支援基金によるご支援がなければ、今回のような貴重な経験を得ることはできなかったと考えております。
 博士課程進学後は、本学会で得た経験を糧として、世界で活躍できる研究者となるべく、日々の研究活動に一層邁進していく所存です。