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令和4年度「齊藤記念薬学教育研究支援基金」国際会議研究発表経費支援事業報告

令和4年度齊藤記念薬学教育研究支援基金成果報告

  • 医薬製造化学分野
  • 博士課程前期2年の課程2年次(分子)
  • 河野駿

 今回私は、2022/12/10~12/14にシンガポール One-North地区で開催された、「11 th Singapore International Chemistry Conference」に参加し、「Total Syntheses of Acochlearine and related Alkaloids」というタイトルで、医薬品として期待されるアルカロイドの化学合成に関するポスター発表を行いました。本学会では有機合成化学化学の分野をリードする世界的に著名な研究者と若手研究者らによる60を超える講演に加え、アジアおよび米国を中心とした世界中の学生によるポスター発表が行われました。
私が今回の国際会議の参加で得られた成果は主に以下の二点です。
 一つ目は、世界中の研究者に自分の研究成果を直接発表することができた点です。初めは言語の違いが壁となり、日本人以外の研究者と十分に議論することができるか不安に感じていました。しかし、化学者の共通言語である化学構造式を通して、深い議論を楽しむことができました。他国の研究者とディスカッションすることにほとんど抵抗を感じなくなり、自分の殻を一枚破って成長できたと感じています。また、合成化学者以外とも多く議論する機会に恵まれ、自分の研究を多面的に見直すことができたことも私にとって貴重な機会となりました。この経験は、さまざまな分野の研究者と関わりながら研究を進めていく必要のある創薬研究者を志す私にとって大きな糧となりました。
 二つ目は、有機合成化学の分野をリードする世界的に著名な研究者の講演を直接聞くことができた点です。論文を読むだけでは伝わってこない研究の経緯等から研究に対する考え方を学ぶことができたとともに、研究に対する熱意を感じ、強い刺激を受けました。特に、光酸化還元触媒を用いた新規反応開発の化学者として世界的に著名なノースカロライナ大学Nicewitz先生の、触媒反応を陽電子断層撮像検査診断薬の合成へと応用したケミストリーに関する講演からは、研究を発展させるヒントは思わぬところに転がっているのだと強く実感しました。
 最後に、渡航費・滞在費を含む経済的なご支援を頂きました、齊藤宏様・和子様ご夫妻に厚く御礼申し上げます。普段の研究活動や国内会議への参加では体験することのできない大変貴重な経験をさせていただきました。今回の経験を活かし、今後も日本の薬学研究を先導する研究者となるべく、修士および博士課程進学後も引き続き研究に邁進していく所存です。