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井上飛鳥教授らの研究グループは、薬の主要な作用標的であるGタンパク質共役型受容体(GPCR)に関して、主要シグナル伝達の1つであるGi経路を従来よりも詳細に解析する手法を開発しました。

【発表のポイント】

  • 薬の主要な作用標的であるGタンパク質共役型受容体(GPCR)に関して、主要シグナル伝達の1つであるGi経路を従来よりも詳細に解析する手法を開発しました。
  • GPCRごとに、Giサブタイプの選り好みがあることを明らかにしました。
  • 本研究は、副作用の少ない鎮痛薬などの薬剤の開発に貢献します。

【概要】
 細胞はGタンパク質共役型受容体(GPCR)(注1)と呼ばれる細胞膜上に存在するセンサータンパク質群を利用して細胞外の情報を認識します。GPCRは、細胞外の情報伝達分子と結合すると、細胞内の三量体Gタンパク質(注2)を介して細胞内に情報を伝達します。三量体Gタンパク質は伝達する情報の種類によって4つのファミリーに分類されます。このうちGiファミリーには8種類のメンバー(サブタイプ)が存在しますが、その使い分けは限られたGPCRのみでしか解析されていませんでした。
東北大学大学院薬学研究科の小野雄基博士課程大学院生・井上飛鳥教授らの研究グループは、遺伝子改変技術を用いて全てのGiサブタイプを欠損した培養細胞株を樹立し、GPCRと個々のGiサブタイプの相互作用を解析する手法を確立しました。これを用いて11種のGPCRについてGiサブタイプ選択性を解析したところ、これまで一括にGαiを活性化すると考えられていた複数のGPCRが、それぞれ異なるGiサブタイプ選択性を有することを明らかにしました。本研究は、GPCRに作用する薬の作用機序の理解につながるとともに、副作用を低減させた薬の開発に繋がることが期待されます。
 本研究成果は、2023年1月28日(現地時間)にCommunications Biology誌の電子版に掲載されました。

詳細(プレスリリース本文)

【問い合わせ先】

(研究に関すること)
東北大学大学院薬学研究科 
教授 井上 飛鳥(いのうえ あすか)
電話 022-795-6861
E-mail iaska@tohoku.ac.jp

(報道に関すること)
東北大学大学院薬学研究科・薬学部 総務係
電話 022-795-6801
E-mail ph-som@grp.tohoku.ac.jp